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「コンビニオーナーになってはいけない(サブタイトル:便利さの裏に隠された不都合な真実)」(コンビニ加盟店ユニオン+北健一著)を読んで

 一昨年3月より千曲ユニオンが取り組んだセブン・イレブン本部社員・河野組合員への「降格・減給」の処分に対して、合計7回のセブンイレブン本部との団体交渉を経て、ほぼ完全な勝利を勝ち取りました。この闘いのなかで協力をいただいた、多くの方々に感謝とお礼を言いたいと思います。

 さてこの闘いを通して見えてきたものは、本書のサブタイトルにもなっている「便利さの裏に隠された不都合な真実」そのものです。私たちが毎日何気なく利用するコンビニの裏に数十万人に達する本部社員、オーナー、店の従業員、配達のドライバー、おにぎり・サンドイッチなど食品工場で働く労働者たちの低賃金・長時間労働・ノルマという過酷な現実があり、その犠牲の上に、年間売り上げ5兆円、経常利益2500億円(内部留保は数~10兆円と言われる)の巨大企業・セブンイレブンジャパンが君臨しています。この過酷な現実をリアルに暴いているのが本書です。

 本書の著者は「電通での過労死」など社会問題をテーマにした活動をしているジャーナリストの北健一さんとコンビニオーナーで結成された、コンビニ加盟店ユニオン(コンビニ関連ユニオンとは違います)の共著です。内容はオーナーの立場からの限定されたものではありますが、コンビニ本部(セブン、ローソン、ファミマなど)による極限的搾取の生々しい現実とそのやり方への怒りを込めた暴露となっています。第一章から六章までのタイトルを見れば大まかな内容は把握できますので紹介します。
第一章「私たちはオーナーという奴隷になりました」
第二章「24時間365日 『開いててよかった』の裏側で
第三章「衝撃!コンビニの現場」
第四章「契約更新拒否という脅しの果てに」
第五章「諸悪の根源? コンビニ会計を読む」
第六章「オーナーと本部--共存共栄のモデルを探して」
となっており、このほかに若干の資料とコンビニバイトの話もあります。

 内容全般にわたっての紹介はできませんが、いくつかの点について言及します。
第一は、「一国一城の主」「本部と対等の独立自営業者」といった甘い言葉にのせられ、いったん契約を取り結べばその瞬間から「契約書」という鎖によって縛られた奴隷となるということです。「像とアリ」のような力関係があり、また経営手法や会計のノウハウの蓄積で雲泥の差のある両者の間に「対等」ということはあり得ません。分厚く難解な契約書を100%理解して契約を結ぶオーナーなどほとんどいません。しかし、開店後に「こんなはずじゃなかった!」と悔やんでも遅いのです。本部(社員)は契約を盾にノルマ(自爆営業が必然となる)や仕入れ量(廃棄ロスを生む-後述)、会計(その日の売り上げは全て本部に集中され、一円たりといえどもオーナーの自由にはできな)、果ては個人生活(子供は作るなとまで言われたオーナーも)までも介入します。まさに奴隷にされるのです。ちなみにどれだけ無理難題をオーナーに押しつけたが本部社員の評価となり、昇格の基準とされる。逆に河野君のように店の立場で本部に意見する社員は煙たがれ、ハラスメントを受け、やめさせられることも多々ある。しかし、河野君は担当の店に感謝され、売り上げも伸ばしてきたという実績があるのです。

第二は、奴隷労働の象徴が24時間365日営業です。一昨年、大雪の福井で除雪に追われ、本部に一時閉店を申し出ても許可されずに、ついに奥さんが倒れて病院に運ばれた話がネットで注目されましたが、このような話はザラで10年間一日も休んでいないオーナーもいます。子供の結婚式や病気になっても「そんなことは知ったことではない」と本部(社員)は言い放つことも実際にあります。病院から抜け出して店に出た人の話もでてきます。また夜間の交通の少ない場所での営業は、犯罪の標的にすらなります。オーナーにとっては命と健康の問題なのです。それでも本部が24時間365日にこだわるには訳があります。夜間にどれだけ売り上げ少なかろうと、人件費や光熱費がかかろうが本部は痛くもかゆくもないのです(全て店負担)。逆におにぎり一個でも売れれば、そのチャージ料が入る仕組みなっているからです。「24時間営業はオーナーの裁量に」というはオーナーの切実な要求なのです。

第三に、こうした無理難題を押しつけ、さらなる奴隷化のテコとなる切り札が「契約更新拒否」という脅しです。私たち有期の労働者も契約更新は大問題です。コンビニオーナーの場合最初に15年契約します。そしてなんとか軌道に乗った頃、契約更新がやってきます。長年苦労して積み上げたものを捨てるわけにもいかず、奴隷でいつづけなければならないのです。

第四に、本部に圧倒的に有利に作られた会計システムです。このシステムのもとでは、本部は絶対に損はせず、リスクは全て店が負担します。その典型がチャージロスと言われる聞き慣れない言葉です。どのような仕組みなのかというと、本来、小売り業者は仕入れた量と売れた量が同じになるようにしたいと思っています(売れ残りをなくす)。しかし、コンビニはこのような考えはしません。「機会ロス」と称してお客がいつ来ても購入したいと思うものが必ずあるようにする(客に失望感を与えない)ために、常に多めに仕入れるのです。では売れ残ったらどうするのか。本部はその費用は一切負担せずに店に負担させ、売れた分の利益から規定のチャージ料をとるのです。毎日全国のコンビニから出される廃棄食品は4~600トンという膨大なものです。それを負担しているのは、店のオーナーであり、消費者である労働者階級なのです。本部は「本来売れるものがロスなく全部売れた。売れた分からチャージ料はちゃんもらいます。廃棄分は知らない」ということです。さらに廃棄ロスを少しでも減らすために、オーナーが賞味期限が迫った弁当などを見切り販売(値引き販売)することも本部は妨害しています。正規の値段で売れなければチャージ料が減るからです。
 この問題は、クリスマスケーキ、おせち、恵方巻きなど過大なノルマから発生する廃棄問題と同じではありませんが、どちらにせよ食べ物を捨てて儲けることには変わりありあせん。また利益が出ないオーナーにすれば、バイト代など人件費を削るしかなく、従業員を社会保険に入れることもできないことと裏表です。

 以上この本から読み取れることをまとめてみました。結果として「コンビニ関連ユニオン」の掲げる以下の要求がいかに的を得たものであるか理解できるかと思います。
《3大要求》
■24時間営業義務化廃止、オーナーの希望に
■本部負担で店舗従業員に社保加入を
■「自爆営業」の根絶
《その他の切実な要求》
◇長時間労働・残業代未払い・過労死・精神疾患根絶!
◇パワハラ・セクハラなくせ!
◇従業員に有給休暇の完全取得を、オーナーにも休暇を
◇下請け虐め根絶!まともに暮らせる利益率と賃金保障!
◇憲法の基本的人権、労働基準法、労働組合法を守れ!

改憲・戦争絶対反対! 安倍打倒!と一体で、このスローガンのもとに、全てのコンビニ関連労働者はコンビニ関連ユニオンへ入ろう!
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メールtikumaunion@yahoo.co.jp
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